先日、トラウマインフォームドケアの講演を視聴しました。
トラウマを負った人のケアに一番役立つことは、トラウマについて詳しくなることです。
詳しく知れば、害になることをしないし、益になることができるからです。
久しぶりに触れたトラウマインフォームドケアでしたが、改めて学ぶこと大でした。
トラウマ受傷当事者として、印象に残ったことがあるので、それについて少しつづります。
それは環状島モデルのくだりです。
環状島というのは、
環状の島のことで、環の内側と外側にそれぞれ海があります。
この環状島モデルでは、
トラウマ障害に飲み込まれている状態を環状島の内海に没している状態として、
トラウマを負った人が社会参加するには、内海から陸に上がり険しい崖を登って山越えしてはじめて外海の一般社会に参加することになります。
その際、
トラウマを負った人は、山越えするまでに重力によってトラウマの海に転げ落ちる。
(リスクが高い)とのことです。
私が引きこもっていたとき、それはまさにトラウマ障害の海で溺れていた状態でした。昼も夜も息もできない苦痛のなかでもがいていました。
このままではヤバい!
と直感した私は、そこから必死で回復に励みました。
ヘトヘトになりながらも回復の歩みを緩めなかったのは、
もう二度とあの状態に戻りたくない! の一心でした。
それはつまり、気を抜くと転げ落ちてしまう予感がしていたからなのです。
それは、
落ちたら二度と上がってこれなくなってしまう恐怖に裏付けされていました。
今回講演を視聴して、
自分が転げ落ちないように回復に必死だった。
ということに気づいて、環状島モデルがストンと腑に落ちたのでした。
ちなみに、
社会がトラウマやトラウマを負った人について詳しくなり、受傷者に暖かなまなざしを向けられるようになると、山は低くなり、トラウマを負った人は、私のように必死にならなくても社会参加できるようになるということです。
当事者も社会一般の人たちも、トラウマに詳しくなることが大事だってことです。