他機関の支援職の人たちと会議をすることがしばしばあるのですが、その際、これはマズいぞと思うことがこれもしばしばあります。
とりわけ、被害の後の症状の見積もりが甘すぎる点です。
一言でいうと、もう害はないんだから大丈夫! なんです。
もう害は受けないんだから大丈夫。これからは生活再建し、仕事し、あるいは復学し、心機一転元気はつらつやっていきましょう!
的なノリで支援を考えていることがホントに多いんです。
そのため、いつまでたっても、
生活は乱れたまま、仕事も復学もしない、アドバイスを受け入れない、となると、
なんだこいつ!
という気持ちになる支援者は多いようです。
冒頭の会議は、そんな気持ちになった支援者主催の会議、いわゆる困難事例の会議のことです。
議場の雰囲気がホント悪い悪い。
さて、
ここでの支援者の過ちは一点に集約されます。
被害後の症状を軽く見ていることです。
被害後の症状については、PTSDが知られています。
PTSDは、心にトラウマを受傷した後の障害という意味ですが、まさに、今はもう被害を受けていないにも関わらず心と体が不調を訴える問題です。
直近の話題では、新型コロナについて「コロナ後遺症(罹患後症状)」として新型コロナを患ったあとの症状への対策が始まっています。
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A|厚生労働省
どちらも、被害後なのに! 苦しみが長く続いています。
被害の後を生きる人たちは、残された傷・毒によって被害の後も苦しんでいるのです。
ところが、
そのことに社会が頓着しないので社会との間で軋轢が生まれています。
その結果、被害の後を生きる人は症状の苦しみと周囲から理解されない苦しみの2重の苦しみを味わっています。
とりわけ、
この問題で致命的なことは、被害後の症状を軽く見るのは専門機関でも同様だということです。このことは、以下の運動が如実に語っています。
虐待を受けたために児童相談所・児童養護施設に保護されたかつての子どもたちが「虐待は保護されて終わりじゃない」をかけ声に立ち上がっています。
サイト:
THREE FLAGS 希望の狼煙
https://three-flags-kibou-noroshi.jimdosite.com/
被害後の状況を軽く見る傾向が、一般社会に限らず、冒頭の例を含め専門機関にまで及んでいることは憂慮すべきことです。
私たちは、被害後の症状についてもっと目を向ける必要があります。
最後にもう一回、被害後の症状を軽く見てはダメなんです。
世間も支援者も、誰も被害者に2重の苦しみを与えてはならないのです。