教育者や支援者、講師の人たちが軽々しくもよく口にする
「失敗を恐れずに」とか「人と比べずに」とか「子どもの頃のように」とかのアドバイスは、相手を見てから言ってほしいと、私は心底から思っています。
相手によっては、フラッシュバックを起こしてしまうからです。
自分の経験を例に思いをつづります。
「失敗を恐れずに」
失敗すると、暴力を振るわれたり、しつこくなじられたりしない家庭であればいいでしょう。
でも、そうじゃない家庭では、失敗は命取りになります。
そんな人に、失敗することを勧めてはいけないのは説明しなくても分かるでしょう。
「人と比べずに」
他者と比較することで、自分を卑下してしまう人にならこのアドバイスは救いになるでしょう。
でも、人とあるいはよその家庭と比べることで自分家の異常さに気づき、救いにつながる人にとっては、それはまったく酷いアドバイスになってしまいます。
「子どもの頃のように」
子どもの頃に、のびのび暮らせていた人ならいいでしょう。
でも、そうじゃない人には、そのアドバイスは破壊的なキッカケとなりがちです。
あの頃に戻れ! と言われているのも同然だからです。
他にも、同様なNGワードがいくつかあります。
例えば、
「おふくろの味」的なワード
私としては、思い出したくない味です。
我が家の食事関係でいい思い出は1つもないからです。
「お盆の帰省」的なワード
帰りたくない家庭ではなかった思い出に触れてしまいます。
「友だちと楽しく遊ぶ」的なワード
いじめられた思い出がよみがえります。
あるいは、楽しく遊ぶ機会がなかった記憶とか。
「どろんこになってわいわい遊ぶ」的なワード
昨今の子育て支援でブームですが、
わいわい遊ぶことが許されなかったことを思い出してしまいます。
あるいは、そもそもどろんこになることや、わいわいが苦痛だったのに、無理していた記憶が思い出されることもあります。
その人、その子がどんな風に過去を記憶しているか?
よく思いやって、アドバイスなり言葉なりをチョイスしてほしいと願っています。