私自身の親子関係について振り返るとき、私たち親子にはケアの取引があったように思えます。
親は、子どもである私の体が健康に育つために、衣食住や医療というケアを提供しました。
一方、子である私は、親に心のケアを提供しました。
親の心が安心するように。あるいは親の気持ちがすっきりするように。
望むことをします。望むような姿になります。
生命を養ってほしい私のニーズと、安心がほしい親のニーズとが合致していたたようです。
一見、よさげな取引のようですが、これよくないんです。
実は、親は、子どもに安心を与える役目もあるからです。
親が子どもから安心させてもらう、心のケアをされるのは基本的に控えた方がよいことなんです。
子どもは、絶対的にケアを受ける立場だからです。
身も心も。
そうしてケアされる体験をたっぷりと蓄えて、社会や他者への信頼や愛着を育てて、
大人になってから、他者のケアを行うのが原則だからです。
もし、親から安心を与えてもらえない、気持ちを気遣ってもらえないまま大きくなったら、
心の奥底に何かしら不安を抱えた、自分の気持ちが分からない、人の気持ちも分からない大人になってしまいます。
私がそうであるように。
こんなことから、
不安を抱えて孤立した子育てにならないように、親へのケア・サポートがそこかしこで注目されてきていることは歓迎です。
私の親も当時十分なサポートがあれば違ったのかなと思うところです。