昔、アルコール依存症家族グループで学んでいた頃、呪文のように唱えていた言葉があります。
それが、「きょう一日」です。
もともとは、「きょう一日アルコールを飲まずにいられますように」とか「きょう一日しらふでいよう」とかってアルコールを摂取しない状態(ソーバー)でいることを保つためのパワーワードと聞いています。
ところがこの一言は、ホントになんにでも応用が利いて、効果抜群なのでよく当時はよく使っていました。
それこそことあるごとに呪文のように。
というのも、これを口にすると、焦った気持ちが落ち着いて、先走って不安に押しつぶされそうな心が穏やかになるんです。
アルコール依存症家庭は悪いことが不意にしかも次から次に起こります。
だから家族は全員いつも不安でいっぱい。怯えて暮らしてます。
この先きっと悪いことが起きる!
そんな思いに身を固くして過ごしています。
こんな「まともじゃない」状態がフツーになってしまった私たちアルコール依存症家族は、その状態からなかなか抜け出せません。
そんな私たちにできることが唯一「きょう一日」だけなんです。
きょう一日穏やかでいよう。
きょう一日落ち着いていこう。
きょう一日やけを起こさないでいよう。
きょう一日思いやりを持って人と関わろう。
きょう一日自分を思いやろう。
きょう一日ゆっくり休息しよう。
こんな感じで、キビシイ心理状態でもとにかく「きょう一日」なんとかやっていきます。
明日のことは明日になって考える。
とにかく、きょう一日。穏やかに、落ち着いて、やけにならず、思いやりを持って、過ごします。
「きょう一日」だけならなんとか自分が望む状態でいられるんです。
※実のところ最初はこれすら難しいのだけど。
最近、亡母のことや、地震や台風や、その他いろいろなことが立て続けに起きて、心が乱れています。
そう、まるで、あの頃のような望まぬ慌ただしさです。
おかげで気持ちもあの頃に戻ってしまったようです。
食欲も落ち、睡眠もできません。久しぶりにすっかりしょげてしまっていました。
そんな中でふと「きょう一日」という言葉がよみがえってきました。
かつて私はこの言葉を頼りにだいぶまともになりました。
今も、この言葉を繰り返して気持ちを整えています。
「きょう一日」
穏やかでいられますように。