前回の続きです。
さて、
私は心理師ですが、心理学・心理療法には必ず始祖がいます。フロイトだったりユングだったりパールズだったり、アドラーだったり、エリック・バーンだったりです。
始祖の弟子たちやその後進たちはコミュニティー(流派)を作り、始祖の教えを受け継ぎつつも、教えを時代に合わせて改変していきます。
そうして形は変わっても中核となる思想、エッセンスはそのコミュニティーに継承されていきます。
こうして代々受け継がれてきた思いやりと知識によって、現在の私たちが心理学・心理療法の恩恵を被っているのです。
私には同じ道を大乗仏教コミュニティーもたどっているように思えました。
始祖のお釈迦様の教えの肝心要は受け継ぎつつ、時代に合わせて伝え方や重点を置く内容を改編していく。※発展と言ってもいい
だからといって、始祖の威厳が傷つくことはなく、むしろ時を経ても色あせない教えに輝くばかりです。
私の心理の流儀はTA・交流分析ですが、私はその始祖エリック・バーンを尊敬しています。
同様に、仏教の始祖お釈迦様も変わらず尊崇しています。
そしてなにより、私と同じような思いでいる流儀・流派の人たちに愛着を感じています。
コミュニティの一員であることに喜びと安らぎを感じながら。
信仰を背景とした虐待を受けた私は信仰心も魂もひどく傷めていました。
今こうして改めて信仰につながり、心の居場所を見つけた感じです。
虐待は人が人を傷つける行為であり、その傷回復はやはり人の力によると言われています。
信仰で傷ついた私は、信仰で癒やされていくようです。
お釈迦様への愛着・信頼は、コミュニティの人たちへのそれへと移り、今の私を支えています。
了
参考文献
佐々木閑『インド仏教変移論 ーなぜ仏教は多様化したのか』(大蔵出版 2000)
植木雅俊『仏教のなかの男女観 原始仏教から法華経に至るジェンダー平等の思想』(岩波書店 2004)
田中公明『仏菩薩の名前からわかる大乗仏典の成立』(春秋社 2022)