ヤングケアラーの話で、印象に残った一語があります。
「運」
です。
元ヤングケアラーの宮崎成悟さんは下記↓のように指摘されています。
その子が救われるかどうかが、運任せの現状を変えていかねばと。
さて、
逆境にある子どもが困難を乗り越えられた理由としては、
いい先生に出会えた。近所のおじちゃんが気づいてくれた。
隣のおばちゃんから食事を作ってもらった。頼りになるきょうだいがいた。片親がしっかりしていた。
心を許せる友人がいた。福祉が入ってくれた。
など、支えてくれた人がいたことが挙がるのですが、
これ全部、運といえば運なんです。
その子の周りにたまたまこんな感じで頼りになる人がいたから、その子はたまたま困難を乗り越えられたってことです。
もし、いなかったら、どうなっていたか?
考えると寒気が走ります。
現状はつまり、その子の一生は運任せってことなんです。
とはいえ、不安定な運任せにならないように子どもを保護する制度があるにはあります。
虐待などを受けた子どもを児童相談所が保護して安全な環境で養育する制度です。
社会的養護(養育)と呼ばれています。
不適切な養育をする保護者に代わって社会が子どもを養護・養育するのですね。
この制度が適用された子どもたちは18歳までしっかり保護されます。
私の正直な気持ちをいうと、私は彼ら彼女らのことをうらやましく思います。
なぜなら私は、保護されなかったからです。
そのため私は、安全でない環境で安心できないまま大きくならざるを得ませんでした。
こんな思いの人たちは、私以外にもたくさんいます。
このことは、
運任せにせず制度で対応するようにしているにも関わらず、子どもが保護されるかどうかが運任せであることを意味しています。
さらには、
保護されれば、運任せの人生から解放されるかというとそうとは言えません。
保護制度は18歳までが対象なので、保護された子どもは18歳を迎えると原則支援が終わってしまいます。※最近少し年齢上限がゆるくなりました
その後は、親元に帰ったり自立したりを余儀なくされます。
その後、
保護が終わった子どもたちは、高校以上に進学しようとしたり、アパートや就職先を見つけたりするときに、経済的な面や保証人の面などで苦境に立たされがちです。
ケア・リーバーと呼ばれる保護後の子どもたちは、社会に放り出されるといっても過言ではないでしょう。
まさにそのとき! 助けがあるかどうかはまたも運任せの状況の到来です。
運がいい子は、社会になじめるけど、そうじゃない子は孤立することになります。
結局、
保護されてもされなくても、子どもの人生が運任せであることに違いはないのです。
なんということでしょう。
さてこうして、つらつらと考えてきて1つ気づいたのは、運任せとは要は、
いい大人に出会えるかどうか?
この一事につきるということです。
いい大人に世話してもらえる子どもは救われて、そうじゃない子はただただ我慢する。
日本は今のところそんな社会です。
変えていかねばと思います。