不適切な養育・マルトリートメントは、発達特性と似た状態を引き起こします。
不適切な養育・マルトリートメントによって、ストレスフルな状態に追い込まれた子ども(あるいは大人)の様子は、発達特性を持つ子どもの様子となかなか見分けがつきません。
例えば、どんな様子かといえば、
気持ちが、常時警戒の臨戦態勢なので、キョロキョロしてて落ち着きがないとか、じっとしていないとかなりがちで、ときに暴力的にすらなります。
心に余裕がないので、柔軟な思考ができず、こだわりが強くなったり、配慮ができなくなったりすることもあります。
養育者から、心の交流を十分にしてもらえていないために、人の心・気持ちのことがよく分かっていないこともあります。
そもそも、心を閉ざしていることもあります。
また、安心してたくさんいろいろな会話をしていないことから、コミュニケーションスキルが不足していることもあります。
落ち着いた気持ちで勉強にのぞめないので、学習成果が上がらず、勉強が苦手になることもあります。
これらのことは、衝動性の高さやこだわりの強さ、注意力やコミュニケーション力、興味のあることが限られている問題、想像力の不足や計画を立てて実行できないことなどと指摘される発達特性と重なります。
そのため、トラウマ性の問題を発達特性の問題と勘違いされることや、またその逆が起こります。
適切な支援は適切な見立てから始まります。
こういうことなので、
発達特性だ! トラウマ性だ! と、安易に結論に飛びつかず、
しっかり見立てねば! と心理支援者としての精進を重ねる日々なのでした。